背骨のアーティキュレーションを楽しむ

ピラティスにおける「アーティキュレーション」とは、背骨を一つひとつ丁寧に、コントロールしながら動かしていくことです。

音楽をされていた方は、アーティキュレーションという言葉を聞くと、スラーやスタッカート、アクセントなどを思い浮かべるかもしれません。
音楽では、音のつなぎ方や強弱によって表情をつけていきます。

実は、私たちの体も同じように、動きに表情をつけることができます。
呼吸によって肺が膨らみ、息を吐くことで声が生まれるように、関節や筋肉をコントロールすることで、動きをリズミカルにしたり、強くしたり、柔らかくしたりすることができます。

ヨガを学んでいたときにも、「自分自身を楽器のように扱うことができる」と教わったことがあります。

今回は、そんな体の表現の一つである「背骨のアーティキュレーション」についてお話しします。

背骨を一つひとつ動かす感覚

私がマットピラティスの養成コースに通っていた頃、先生がよく「アーティキュレーションを楽しんで」とおっしゃっていました。

当時の私は、アウターマッスルを優位に使い、大きな動きや勢いを使って体を動かすことが多かったため、背骨を一つひとつコントロールする感覚がなかなかつかめませんでした。
しかし、ピラティスで繰り返し体を動かしていくうちに、あるとき「今、この骨が動かせた!」と感じる瞬間があったことを覚えています。

それまで一つのかたまりのように動かしていた背骨が、少しずつ細かく動かせるようになっていく。
その感覚は、とても新鮮で、体を動かす楽しさがさらに広がるきっかけになりました。

レッスンでも、お客様が自分の体の中にその感覚を見つけたとき、「なるほど、こういうことね!」とおっしゃることがあります。
その瞬間に立ち会えることも、私にとって大きな喜びの一つです。

動き出す場所で変わる体の感覚

背骨は、頸椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨へとつながっています。

例えば、背骨を丸めるラウンドバックや、ヨガでいうキャット&カウの動きを一つ取ってみても、どこから動き始めるかによって、体の感覚は変わります。

骨盤から丸めて、最後に頸椎が動くのか。

頸椎から動き始め、最後に骨盤が動くのか。

あるいは、胸椎や腰椎から動き始め、頸椎と骨盤が最後に動くのか。

同じような動きでも、動き出す場所や順番を変えることで、背骨のどこが動いているのか、どの部分がつながっているのかを感じやすくなります。

ピラティスでは、仰向けの状態から背骨を丸めて起き上がる動きや、腹筋運動の際にも、頭蓋骨の付け根に近い頸椎から丁寧に動かすように指導することがあります。

首の丸みの先に胸の丸みがあり、その先に腰の丸みがある。
それぞれの部分を意識しながら、背骨全体が連動して動いていく感覚を味わいます。
背骨のつながりを感じる楽しさ
背骨を一つひとつ独立させて動かすことは、単に細かく動かすことだけではありません。
それぞれの動きを感じながら、背骨全体のつながりや連動を感じることも大切です。
一つひとつの骨を丁寧に動かしながら、全体が滑らかにつながっていく。

その感覚は、まるで自分の体を楽器のように奏でているようにも感じられます。

私は、背骨を一つひとつコントロールしながら、全体の連動を感じることがとても楽しいと感じています。

ぜひ皆さんも、いつもの動きの中で「どこから動き始めるのか」「どこが動いているのか」を意識してみてください。

きっと、いつもとは少し違う体の感覚に出会えると思います。